猫好きのデバッグ

デバッグする際に、元のコードを書いた人の意図を出来るだけ汲みたいと思うタイプである。

プログラマの中には、自分のコーディングスタイルやアルゴリズムを絶対と思っていて、それから外れているものを全て「馬鹿が書いたコード」と思うタイプが居る。

そういう人は、実はそこで扱っているデバイスの操作には癖があって、特殊な処理をしないと稀に異常動作をする、なんて理由があって一見不自然なコードになっている箇所などを大胆に削除してのけて、後のバグの種を埋める。

自分の目から見て不用意不注意なコードに見えても、他の部分から読み取れる実装者のレベルと合わないと思ったら、何か理由があると思うべきだ。

そうした他人の意図、動機への関心が薄い人、あるいは自分と異なる他人を見下して無視しようとする人とは気が合わない。

私は人の作ったものからは、それが自分と同じ考えに基づいて居ようが居まいが、作者の意図を汲み取りたい。

ゲームメイカーであるよりもゲームウォッチャーであるのは、私の性質である。

自分の影響を受け、自分の配下となる犬よりは、独立した性質の猫を好む。

他人に自分が影響を与えている事を知れば、何とかその人本来の姿に立ち返らせようと考えてしまう。

その性質はプログラマとしては有利に作用している。

営業マンや経営者になっていたら不利に働く要素だったかも知れない。

でも私の好きな世界は、誰も他人を支配したがらず、自分と他人の違いを楽しく感じ、気の合う同士が群れる、そんな世界。

チンパンジーなどの猿を見る限り、支配と抑圧が大好きな霊長目の本能に反した、そんな社会である。