深海ガニとクジラ

人類の人口爆発、テクノロジーの指数関数的発達、よくそれらについて進化の文脈で語られるのを耳にする。

人類は特異な生物種であるとか、生物の摂理に反する生き物であるとか。

そういう、ここ200年ほどの発展を人類の、あるいは文明というものの本質に関わる事としてとらえる見方に、最近違和感を感じる。

 

地球温暖化は人類の活動のせいだ。

もっと言うなら、西欧を中心とした、資本主義の経済人達の活動のせいだ。

人類のここ200年の発展が異常だったのは、それまで燃料も動力も全て生物由来のエネルギーで賄うしかなかったものを、地中に埋まった数億年の生物エネルギーの蓄積を利用するようになったからだ。

 

過去の生物が空気中の炭素を固定し、地球環境を変えながら地中に貯めたものを、空気中に再び解き放つ事で、チート的なエネルギー源を手に入れたからだ。

 

生物の進化の必然、人類の本性、そんな風に理解されていた急激な発展と破壊の時代はもうすぐ終わる。

クジラの死体の上に一大コロニーを築いた深海ガニが、クジラを食い尽くして死んでいくように、無尽蔵なエネルギーの上に築かれた機械文明は、千年と保たずに消えていくのだ。

 

それとも、実用的核融合技術を手に入れて、このカニの群れは生き延びるのだろうか。